信立天
1942年遼寧省四平生まれ。
幼少より水泳を学び、1955年に北京市遊泳隊に入り、1958年には中国遊泳隊に入り代表選手となり、1964年に体育教師となる。
当時、同僚であった呉彬、王金声、宋志平、馬漢清の各老師から長拳、炮拳、八極拳、太極拳を学び、
1968年以降、李子鳴、高子英、王培生、馬伝旭の各老師に八卦掌や太極拳を学ぶ。
1976年に馬伝旭老師に拝師し開門弟子となる。
北京市八卦掌研究会教練。北京語言学院(現 北京語言大学)の体育教師。
八卦掌修行の開始
意拳を学び、練習が進むと散打練習を行うが、その散打練習において「歩法」の重要さを感じるようになった。歩法と言えば「八卦掌」である。この頃から次第に八卦掌に興味を持ち、歩法のレベルアップを求めた。
そんな中、大学の後輩 甲斐君の紹介で、語言学院の体育教師であり余暇の時間に武術を指導していた信立天老師に八卦掌を学ぶことにした。
練習は毎週水曜日と土曜日に語言学院内の屋外プール場のプールサイドで行われ、そこでは中国人や白人が数名集まり、各々が八卦掌や形意拳、太極拳などを学んでいた。
練習内容
趟(足尚)泥歩、趟水歩
円周上を歩く基本功。初めはやや地を擦るようにし、以降は擦らずに歩く。
30分もすれば、地にはくっきり跡が残る。
三盤練法(上、中、下盤)
三頂(頭、舌、掌根)、三圓(虎口、双臂(後背)、眼)、三空(手心、胸心、足心)
定式八掌:下沈(塌)掌、托天掌、推摩掌、柔球(叉子)掌、抱月掌、陰陽掌、指天画地掌、托槍掌
老八掌:単換掌、蓋手掌、反背(背身)掌、劈手掌、脱身化影掌、千斤垂地掌、摩身掌、平穿掌
新八掌
連環掌
単操手:穿掌、揉球、単劈、双劈など
信老師は動きが猿のように柔らかく軽やかであった。馬伝旭師父の一番弟子と伺ったが、馬師父とは風格のみならず、套路も異なっていた。
「武術」1995年夏号(福昌堂)に信老師が発表した文章「八卦掌の基本功とその功法理論」(加賀雅好氏訳)が掲載されている。その内容は以下の通りである。
八卦掌と先後八卦理論、
真正八卦掌の少ない理由、
先天八卦の卦象と八卦の体、
八卦掌の練功と中医学
八卦掌の架式とその作用
走転円圏の要領とその健身作用
八卦掌と宇宙の法則